510のヘッドライトをHIDにする!

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最近やたら増えてきたHID(キセノン)ヘッドライトですが、以前から興味はあったもののまだまだキットは高価で高嶺の花の存在でした。しかし偶然日産純正のHID一式が安く手に入ったのでロービームをHID化してみました。
当然HID化するにはシールドビームじゃダメで、H4などのハロゲンバルブが使われている必要があります。

HIDシステムはバラストという昇圧安定器(インバータとイグナイタに分かれているものもある)とHIDバルブ(バーナー)がワンセットとなっています。

 

バラスト
高電圧を発生するので水の浸入はご法度なのですが、純正品の中には防水処理が為されていないものもあるそうです。なのでフタを開けて確認しましたが、これはちゃんと真っ黒のシリコンを流し込んで防水処理してありました。ちなみにフタを留めているボルトはさすがに簡単には開けられないようにいじり止めつきトルクスで留まっていました。
もし防水処理が為されていない場合はシリコンシーラントで内部を埋めて防水処理をしましょう。このとき使うシリコンはちゃんと電気絶縁用のものを使わないと泣きを見るかもしれません…

HIDバルブ(バーナー)の加工
メーカー純正品(標準品)を流用する場合、現在使われているハロゲンバルブと同じ取り付け方ができるように加工してやらなければなりません。
ワタシの510はロービーム側にH4バルブが使われているので、H4の台座の取り付けと遮光が必要になります。
ところでバーナーの規格にはD2RとD2Sの2種類あるのですが、これはバーナーの紫外線遮蔽ガラスの遮光ペイントの有無と台座の切り欠きの位置の違いだけです。H4に流用する場合はどうせ遮光するのでどちらでもかまわないと思います。

まずH4の台座ですが、これはH4バルブを分解して利用します。といってもこの台座はハンダで付いているだけなのでガスバーナーなんかであぶってやれば簡単に外すことができます(図1)。
この台座にはハンダ付けされている部分にリブがついているのですが、このリブが表(上?)に出ているものを使用します。CIBIE製などで裏向きにリブがついているものがありますが、これでは発光部分の位置がずれてしまうので注意しましょう。
外した後台座に残っているハンダはきれいに取り除きましょう。

バーナーはセラミックチューブが下向きになるように取り付けるのですが、H4の台座は下側が平らになっているので、バーナーのセラミックチューブ側の台座部分を削っておきます。またバーナーの台座部分の上面に小さな突起が2つあるのでこれも削って平らにしておきました。
そしてH4の台座をバーナーにかぶせ、H4とHID双方の台座から発光位置までの距離が同じになっていることを確認します。
発光位置が合っていることを確認したら、図2のように若干角度(15度ぐらい?)をつけて固定します。これはH4バルブの発光部分に若干角度がついているのに合わせるためです。
台座の固定にはまず強力な接着剤を使用し、そして3mmのビス・ナットで固定しました。裏側をエポキシパテで埋めてやってもいいかもしれません。
また加工の仕方によっては点灯時の電流がリークすることがあるようです。どうもH4の台座に電気が逃げているようです。バーナーには高電圧がかかるので点灯時にリークしてしまうと放電できず点灯しません。

次にバーナーの遮光を行います。H4バルブのロービーム側は下向きに光が出ないようにバルブ内部で遮光されているので、この加工も必須です。でないと常にハイビーム状態になり、パッシングされまくるのがオチです。ワタシはこの遮光板をWeb上で販売されている遮光キット等を参考に薄いステンレスで作成しました。
また、バーナーは黄色光が下向きに多く出るらしいのでその反射を防ぐために内部が青黒くなるまでガスバーナーで焼いておきました。このせいかどうか知りませんが、かなりの純白光の照射が実現されました。
そして問題は取り付けですが、いろいろ考えた挙句、結局耐熱温度の高そうなエポキシパテてんこ盛りで固定しました。で、出来上がったのが図3の状態です。

このHIDバルブですが、使用するヘッドライトによっては先端がガラス面に当たるかもしれません。ワタシが使用したマーシャルのロービームはガラス面が丸いタイプでしたので何とか当たらずにすみました。(その後交換したシビエSuper4でも大丈夫です)
もし当たる場合は紫外線遮蔽ガラスの先端の細い部分を切り取り、セラミックチューブも若干短くしてアース線を折り曲げてやればOKです。
またセラミックチューブは大変折れやすいですが、多少なら折れても問題ありません。かく言うワタシも2本とも1箇所ずつぶつけて折ってしまいました…

 

台座を外したH4バルブ
図1 台座を外したH4バルブ

H4台座取り付け状態
図2 H4台座を取り付けたバーナー

加工済みHIDバルブ
図3 完成したHIDバルブ

以上でバルブ側の加工が終わり、あとはクルマに取り付けるだけなのですが、ここでも多少頭を悩ませました。何に困ったかといいますと、まずバラストをどこに取り付けるか、そして配線をどうするかという部分です。

バラストの設置
バラストは結構広そうで余裕のないエンジンルームの水のかかりにくいところということで図4の位置に取り付けました。ただこの部分は上のほうが裏側が袋になっているためボルトナットが下のほうで1本しかかけれません。なのでボルト1本プラス超強力両面テープで固定しました。多分大丈夫と信じて…


図4 バラスト取り付け状態 (それにしてもバッテリーのプラス端子がえらいことに…)

配線
問題の配線は、元の配線を生かしたまま効率のいい接続を考えた結果、下の図5のように配線しました。ポイントは純正コネクタからヘッドライトON/OFFの信号を得られるようにH4バルブを加工して作ったコネクタでしょうか。このコネクタのおかげで元の配線はまったく加工することなく配線することができました。
またハイビームのときもHIDの同時点灯をさせたかったのですが、手持ちの材料不足で実現していません。同時点灯ができるようになったらまた更新します。


図5 HID配線図

そしていよいよ点灯!ハロゲンと比べ、どれぐらい変化があったのかを比較してみます。
図6がH4とHIDの照射光を比較した写真です。それぞれ絞りは開放、シャッタースピードは固定(上段1秒、下段1/2秒)して同一条件で撮影しました。



図6 H4とHIDの照射光比較 (左:H4、右:HID)

 

ちなみにH4のバルブはボッシュのリアルホワイトで、標準のH4バルブよりは白っぽい光を照射するのですが、こうやって比較すると光量も光の色も全然違うのがよくわかると思います。
また下段の写真からHIDの遮光がH4と同様に行われているのがわかります。ヘッドライトを正面から見ると図8のようにリフレクタの下側への光はカットされています。これならばパッシングされることもないでしょう。 

旧車にHIDなんて…という考えをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、この改造はハロゲンの現行車にも応用ができるので参考になれば幸いです。
ワタシはパッと見はオリジナルに近いほうが好みですが、機能的にはあまりオリジナルにこだわるほうではなく、より快適・安全に走れるならいいものは取り入れていきたいタイプなのでHID化には大満足です。何といっても旧車にHIDという違和感がたまりません。
ただ、いまや貴重なマーシャルのヘッドライトの防水カバーを切るときは勇気がいりましたが…


図8 点灯時の正面からの図

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